稚アユなどを食い荒らすカワウの繁殖抑制のため山梨県が笛吹川河川敷(甲府市下曽根町)の営巣地で実施した「擬卵作戦」で、成鳥を含めた個体数が一時は前年より二割減少したものの、すぐに同レベルに“復活”していたことが県水産技術センターの調査で分かった。同センターは「擬卵効果」で同営巣地のカワウがいったんは移動した一方、「別の営巣地から飛来したカワウが居着いている」と推測。対応に苦慮する県や各漁協は四月から、エアライフル(空気銃)や釣り針仕掛けなどの「新兵器」を導入する。今年も一都九県による「一斉追い払い作戦」に参加するなど、あの手この手でカワウ駆除に取り組む。
同センターによると、笛吹川河川敷の営巣地は荒川との合流部にある通称「下曽根コロニー」。県は二○○六年度の繁殖期(三-七月)に百九十一巣の卵を石こう製の擬卵に置き換えた。巣立ったひなは十二羽にとどまり、「擬卵作戦」を始めた○四年度(百二十羽)、○五年度(九十二羽)と比べ最も少なかった。
巣立ち期に入ったばかりの昨年七月は、ひなと成鳥を合わせた個体数は三百九十五羽で前年同月より約二割減少。同センターは「擬卵作戦でカワウが『繁殖に向かない』と錯覚して移動したほか、漁協の追い払い活動やアユ釣り客の人出なども影響したとみられる」と分析したが、同八月の個体数は四百八十九羽とほぼ前年並みに増加。非繁殖期の九月以降も毎月、個体数は○五年度と同レベルとなっている。
同コロニーの富士川水系では、約七十キロ南の静岡側の河口付近にも営巣地がある。同センターの坪井潤一研究員は「秋口に下曽根コロニーに飛来する群れがあるとみられる。擬卵作戦でひながかえらず、えさとなる魚が多く生息しているため、よそのカワウが移り住んでいるのではないか」と推測する。
カワウ対策に頭を悩ます県や地元漁協の関係者は、来年度からエアライフルを導入。日本エアーライフルフィールドターゲット射撃協会(東京)がボランティアで協力し、富士川中流を飛来するカワウを駆除する。同協会はこれまで神奈川、静岡両県のミカン畑や茶畑で、農家の依頼を受けてヒヨドリやカラスを駆除。「散弾銃より発砲音が小さく、射程が長いのでカワウ撃退には効果的」(同協会)とし、熟練者六人が参入する予定だ。
地元の各漁協は、○四年度から県内十六カ所で試行している釣り針仕掛けを本格導入する。生きたニジマスやアユに釣り針を仕込むわなで、これまでにカワウ約五十羽を捕獲した。県は下曽根コロニーの規模縮小に向け、昨年末には巣をつくりやすいニセアカシア約四十本の枝を伐採した。
六月の解禁までに稚アユ二・二トンを放流予定の峡東漁協は「エアライフルの駆除は効果が期待できる。漁協としても放流地点を絞り、飛来するカワウの追い払い活動を長期間続けていきたい」としている。
(写真)カワウの繁殖抑制のため「下曽根コロニー」で進む擬卵の置き換え作業=甲府市下曽根町
【山梨日日新聞 3月27日掲載】