峡東地域の果樹畑でシカの食害が広がっている。山梨、甲州両市の山間地を中心にブドウ、桃の葉や実を食べたり、枝を折ったりする被害が深刻化していて、昨年度の山梨市の被害面積は11・5ヘクタール。2年前の約13倍に拡大した。甲州市でも被害額が倍増していて、両市ともイノシシ以上のダメージを受けている。名所として知られる甲州・三窪高原のツツジも食害に遭っている。シカの繁殖数が多い上、山に餌がなくなっているため、標高の高い果樹畑が狙われるようになったとの見方が強い。両市は防護柵を高くする対策を進めているが被害はなくならず、畑をネットで囲むなど自衛策を講じる農家も出ている。
「このままでは果樹栽培ができなくなってしまう」。山梨市三富上柚木の農業久保田忠雄さん(66)は嘆く。同地区では、シカが桃やスモモ、リンゴなどの葉を食べたり、枝を折ったりした跡が見られる。「葉っぱを食べられると、果実の色付きは悪くなる」と久保田さん。「最近はほぼ一年中シカを目撃する。高い場所で実をならそうとすると、収穫量が減ってしまう」。妙案は浮かんでこない。
山梨、甲州両市によると、シカは主にブドウ、桃、スモモの新芽や葉、実を好んで食べるという。被害が多いのは山梨市が牧丘、三富両地域、甲州市は塩山地域の上小田原、竹森、藤木、勝沼地域の菱山、深沢といった山間地だ。
とりわけ被害が深刻な山梨市では、シカによる果樹被害が2006年度の面積0・9ヘクタール、被害額80万円から、昨年度は11・5ヘクタール、690万円に拡大。06年度の被害面積が0・5ヘクタール、被害額が70万円だった甲州市も、昨年度は0・8ヘクタール、150万円に増えた。
両市とも、これまでは野菜を中心に食い荒らすイノシシの被害に悩まされた。旧勝沼町は1996年度から、旧塩山市は2001年度から、イノシシが畑に侵入しないよう山間部に高さ約1メートルの防護柵を設置してきた。
ところがシカの食害が目立つようになったため、甲州市は2年前から既設の柵の高さを2・3メートルにする対策を講じている。山梨市では旧牧丘町と旧三富村が04年度から、シカ用の防護柵を設けている。
両市の担当者は「柵を増設して食害を食い止めたい」としているが、被害は後を絶たない状態。今年初めてブドウが被害に遭ったという甲州市塩山藤木の農業橋爪政治さん(74)は、畑をネットで囲った。「せっかく育てた作物を台無しにされ、悔しい。自分で守るしかない」と話している。
(写真)シカに葉を食べられ、枝を折られたスモモの木=山梨市三富上柚木
【山梨日日新聞社 10月17日掲載】